遺言作成の心得

生前対策メモ ー 遺言作成の心得

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遺言書を残すべき場合

一般的には下記に該当する場合に、遺言書を残すべきと言われています。

本人状況の観点
  • 子供のいない夫婦の場合
  • 内縁関係にある場合
  • 再婚している場合(前の配偶者との間に子供がいる)
  • 相続人が全くいない場合
財産の観点
  • 相続人以外に財産を分けたい場合
  • 事業経営者の場合
  • 財産の大半を居住不動産が占める場合
推定相続人の観点
  • 行方不明の相続人がいる場合
  • 未成年の子供がいる場合
  • 判断能力の弱い高齢者(認知症など)がいる場合

遺言書を作成すべき優先度・必要度は異なるものの、全ての方が用意しておくことに越したことはない(用意しておくべき)と考えます。

「とりあえず遺言」

遺言を遺すべきと思いつつも、遺言に記載する事項、遺言形式の選択(自筆証書・公正証書)など吟味すべき点も多く、なかなか進まないこともあり得ます。
取り急ぎ記載したい事項を簡潔にまとめた「とりあえず遺言」(通称です)を自筆証書で作成しておき、後日ゆっくり記載事項を検討の上、改めて公正証書で遺言を作成する方法もお勧めです。
また、緊急を要する場合にも「とりあえず遺言」を作成して備えることも考えられます。

夫婦共同遺言の禁止

「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」(民法975条)とされています。例えば、夫婦が互いに「自分が死亡した時は、自分の全財産を配偶者に相続させる」という一通の遺言で作成した場合には無効となります。
よって、夫婦が共に遺言を作成する場合は、それぞれ各自の遺言書を作成する必要があります

予備的遺言

本人が配偶者に全財産を相続させる遺言を残したとしても、必ずしも配偶者より先に死亡するとは限りません。また、例えば長男に特別に財産(事業会社の株式や固有の不動産)を相続させる遺言を残したとしても、予期せぬ事故等で長男が本人より先に死亡することもあり得ます。
このような場合には予備的遺言で対応し、「ただし、遺言者が死亡する以前にAが死亡した場合は、Aに相続させるとした全財産は、Bに相続させる」と記載することができます。
予備的遺言の範囲をどこまで想定すべきか悩むところですが、十分有り得るケースであれば前もって遺言の文面に取り込む必要があります。

付言の重要性

付言とは、法律に定められていないことを遺言でする事項です。
一般的には、葬式やお墓のこと、家族への感謝の気持ちなどが該当しますが、これらは法的な強制力はないものの、残された家族へ伝える本人の意思(メッセージ)として大切な事項となります。
遺言で法定相続分と異なる配分にした場合の理由を付言により正しく伝えることも大事です。特に遺言で遺留分を越えるような相続分を指定した場合には、遺留分侵害額請求権を行使しないように依頼するメッセージを伝えることも欠かせません。

 


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