遺言書とは
遺言書は遺言者の意思を示したものであり、遺言が効力を生ずるのは遺言者の死亡時となります(民法985条1項)。遺言書を作成することで、相続開始により遺言執行されることになります。
遺言書作成は生前対策における重要な手段の一つです。遺言は法律に定める方式に従わなければすることができないとされています(民法960条)ので、遺言書作成は慎重に進めるようにしてください。
なお、生前対策としては遺言書との組合せでさらに効果を上げることができますので、状況に応じてご検討されることをお勧めします。

遺言書作成の現場でよくある”困りごと”
生前対策のご相談で、お客様の”困りごと”として多いのは下記のとおりです。
当事務所ではこれらの”困りごと”に対応可能です。
お客様の生前対策ケースに応じたご相談をお受けしますので、無料相談をご利用ください。
配偶者が亡くなった場合、遺産の手続きはどのようになる?
配偶者と共有の不動産があるが、どのような相続対策をとるべきか?
自分には自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが適しているか?
施設に入所しているが、遺言書を作成できるか?
遺言で孫や第三者に財産の一部を渡すようにしたい
過去に作成した遺言書を書き換えたい
札幌の遺言書作成は当事務所にご相談ください
なか司法書士事務所では、相続手続・生前対策のご支援に尽力しています。ご支援内容や費用面などは、お客様の相続ケースを面談等によりお聞きすることにより詳細にお伝えさせていただきます。
初回相談は無料(平日夜間・土日祝日でも対応可能)ですので、是非ご利用ください。
遺言は厳格な法律行為です。有効な遺言を作成すると共に、遺言内容の検討・精査を含めて対応させていただきます。

司法書士/中 英康
遺言書作成-公正証書プラン
110,000円(税込)~
遺言書作成-自筆証書プラン
99,000円(税込)~
遺言の概要
遺言能力
15歳以上の者は、単独で遺言をなすことができます(民法961条)。
成年被後見人でも遺言をなすことができます(民法962条)。ただし、意思能力が求められますので、事理を弁識する能力を一時回復した時で、かつ、医師2人以上の立ち会いが必要となります(民法973条)。
自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
自筆証書遺言、法務局保管制度利用の自筆証書遺言、公正証書遺言のメリット/デメリットを比較すると、以下のようになります。
「公正証書遺言」の唯一のデメリットは時間的・費用的作成コストです。「自筆証書遺言」は手軽な反面、デメリットも多いです。
自筆証書遺言をお考えの場合には、自筆証書遺言に公正証書遺言が持つ一部メリットを取り入れた「保管制度利用の自筆証書遺言」をお勧めします。
| 自筆証書遺言 | 自筆証書遺言 (保管制度利用) | 公正証書遺言 | |
| 公正証書遺言 | 低い | 低い | 高い |
| 方式不備の可能性 | あり | あり | なし |
| 紛失の可能性 | あり | なし | なし |
| 相続人が発見できない恐れ | あり | なし | なし |
| 検認手続き | 必要 | 不要 | 不要 |
| 本人の外出が難しい場合 | 可能 | 不可 | 可能 |
遺言の撤回
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。
いったん遺言書を作成しても撤回できないということはありません。遺言の方式に従って前の遺言を撤回することが可能です。また、撤回にあたり遺言の種類は問わないので、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできますし、自筆証書遺言を公正証書遺言で撤回することもできます。
遺言で定めることができること
遺言で定めることができる事項は以下のとおりです。これらは遺言として法的な拘束力を持ちます。
| 相続による財産分配 に関する事項 | 推定相続人の廃除(民法893条) 推定相続人の廃除の取消し(民法894条2項) 相続分の指定(民法902条) 特別受益としない旨の意思表示(民法903条3項) 遺産分割の方法の指定及び分割の禁止(民法908条) 遺産分割における担保責任の定め(民法914条) |
| 相続以外による財産分配 に関する事項 | 包括遺贈及び特定遺贈(民法964条) |
| 遺言執行に関する事項 | 遺言執行者の指定(民法1006条1項) |
| 身分関係に関する事項 | 認知(民法781条2項) 未成年後見人の指定(民法839条1項) 未成年後見監督人の指定(民法848条) |
| その他 | 祭祀主宰者の指定(民法897条1項) |
遺言で定めても法的な拘束力を持たない事項
「遺言で定めることができる事項」以外の事項は、遺言に記載しても法的な拘束力は持ちません。
例えば「葬送に関する事務」や「公共サービス等の精算及び解約」等は、遺言に記載しても法的な拘束力は持ちませんので、遺言の記載どおりに実行されるかどうかは分かりません。
確実に実行されるようにするには、別途「死後事務委任契約」を締結しておく必要があります。
遺言作成の心得
遺言書を残すべき場合
一般的には下記に該当する場合に、遺言書を残すべきと言われています。
| 本人状況の観点 | 子供のいない夫婦の場合 内縁関係にある場合 再婚している場合(前の配偶者との間に子供がいる) 相続人が全くいない場合 |
| 財産の観点 | 相続人以外に財産を分けたい場合 事業経営者の場合 財産の大半を居住不動産が占める場合 |
| 推定相続人の観点 | 行方不明の相続人がいる場合 未成年の子供がいる場合 判断能力の弱い高齢者(認知症など)がいる場合 |
遺言書を作成すべき優先度・必要度は異なるものの、全ての方が用意しておくことに越したことはない(用意しておくべき)と考えます。
夫婦共同遺言の禁止
「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」(民法975条)とされています。例えば、夫婦が互いに「自分が死亡した時は、自分の全財産を配偶者に相続させる」という一通の遺言で作成した場合には無効となります。
よって、夫婦が共に遺言を作成する場合は、それぞれ各自の遺言書を作成する必要があります。
予備的遺言
本人が配偶者に全財産を相続させる遺言を残したとしても、必ずしも配偶者より先に死亡するとは限りません。また、例えば長男に特別に財産(事業会社の株式や固有の不動産)を相続させる遺言を残したとしても、予期せぬ事故等で長男が本人より先に死亡することもあり得ます。
このような場合には予備的遺言で対応し、「ただし、遺言者が死亡する以前にAが死亡した場合は、Aに相続させるとした全財産は、Bに相続させる」と記載することができます。
予備的遺言の範囲をどこまで想定すべきか悩むところですが、十分有り得るケースであれば前もって遺言の文面に取り込む必要があります。
付言の重要性
付言とは、法律に定められていないことを遺言でする事項です。
一般的には、葬式やお墓のこと、家族への感謝の気持ちなどが該当しますが、これらは法的な強制力はないものの、残された家族へ伝える本人の意思(メッセージ)として大切な事項となります。
遺言で法定相続分と異なる配分にした場合の理由を付言により正しく伝えることも大事です。特に遺言で遺留分を越えるような相続分を指定した場合には、遺留分侵害額請求権を行使しないように依頼するメッセージを伝えることも欠かせません。
遺言書作成支援の位置づけ
遺言書の作成を検討する背景には、遺言により実現したい姿があるはずです。
その姿のイメージを共有させていただくことが、遺言書作成支援サービスの第一歩と捉えています。
遺言書作成のテクニックに走るのではなく、まずはご本人の想いをじっくりインタビューさせていただきます。その上で、様々なリスクを考慮し、最適な手法をご提案させていただきます。場合により、遺言作成だけではなく、他のスキームとの組み合わせ等をご提案させていただくこともあります。

遺言書作成支援の種類
公正証書遺言作成支援
公正証書遺言は、公証人が本人確認と意思確認を行い、証人2名の立ち合いのもと作成されます。原本は公証役場で保管されますので、紛失・改ざんのおそれがありません。
通常は公証役場に本人が出席することになりますが、外出が難しい場合には公証人に自宅や病院等に出張してもらうことも可能です。

自筆証書遺言作成支援
ここでは法務局での保管制度利用をする自筆証書遺言の作成支援について説明します。
保管制度利用の自筆証書遺言は、通常の自筆証書遺言に比べて、以下のメリットがあります。
・紛失のおそれを回避できる
・相続人が遺言の存在を知ることができないおそれを回避できる。
・検認手続きが不要になる。

ご要望により保管制度を利用しない自筆証書遺言の作成支援も可能です。
遺言書作成支援における遺言内容の検討(6つの観点)
遺言内容を検討する場合には、以下の観点から整理・検討することをお勧めします。
①「家族関係(推定相続人)および受遺者」の観点
②「財産内容」の観点
③「ご本人の思い」の観点
④「財産の分配方法」の観点
⑤「状況変化への対応」の観点
⑥「死後事務委任」の観点

①「家族関係(推定相続人)および受遺者」の観点
家族関係(推定相続人)
配偶者、子、親、兄弟姉妹を戸籍等により確認し、推定相続人を確定します。なお、本人の死亡により相続人が確定しますので、遺言作成時点では“推定”相続人となります。
遺言作成後の本人死亡前(又は同時)に推定相続人が死亡した場合には、その方は相続人ではなくなりますので、当初想定していた相続人の構成とは異なります。
推定相続人の中で判断能力に問題のある方の把握(対応)の他、遺言による認知、相続欠格、推定相続人の廃除・廃除の取消し等も考慮に入れる必要があります。
受遺者
相続人以外に財産を渡す遺贈の場合には、事前に受遺者(遺贈を受ける方)の氏名・生年月日・住所の情報を入手します。
また、法定相続人が一人もいない場合には、遺言により特別縁故者に財産を残すことができます(民法958の3)。なお、遺言がない場合には、国庫に帰属することになります(民法959)。
②「財産内容」の観点
不動産、預貯金、有価証券、その他の資産、債務などの洗い出しを行います。
詳細は、相続手続きメモの「相続財産の調査・確定」をご覧ください。
③「ご本人の思い」の観点
遺言は、亡くなった後に本人の意思を最も効果的に伝える手法で、法的拘束力を持ちます。
ご本人の意思が全体の遺言内容の根幹になりますので、「ご本人の思い」は非常に重要な項目です。
大まかな財産分配の方針
ご本人の亡き後にどのように将来を託すのかについて大まかな方針を定めます。
具体的には、現住不動産や収益不動産に関する対応、金融資産の分配、残された家族への対応、事業をされている方であれば後継ぎ問題等について検討します。遺言内容が履行されるように遺留分に配慮します。また負担付相続・負担付遺贈についても併せて検討します。
祭祀主宰者の決定
遺言では財産の分配の他に、祭祀の承継を定めることができます(民法897条1項)。
従前では長男が承継することが多かったようですが、必ずしもそれに限られるものではありません。
また、祭祀承継者には遺言により相続財産の分配を少し手厚くすることもできます。
遺言執行者の決定
遺言では遺言執行者を定めることができます(民法1006条1項)。
遺言執行者には、相続人、受遺者の他、弁護士・司法書士等の専門家を指定できます。
遺言執行者が指定されていない場合には、原則相続人全員が関与する必要がありますので、迅速に手続きを進める上で障害になる恐れがあります。遺言を作成される場合には、遺言執行者を指定することをお勧めします。
付言事項
遺言を作成する上での根幹となる「ご本人の思い」をメッセージとして託すために重要な項目です。
付言事項自体には法的拘束力はありませんが、遺言内容に至る背景を各相続人に伝えると共に、ご本人の亡き後に相続人間で揉めることが無いようするための最期のメッセージとして積極的に利用することをお勧めします。
また「遺言で定めることができること」以外の事項で、遺言に記載したい内容は、付言事項に記載します。
④「財産の分配方法」の観点
「ご本人の思い」に基づき、具体的な財産の分配方法を決めます。ここでは注意点のみ示します。
不動産
後続の相続における揉めごとを防止するため、共有は極力避けるようにしてください。
預貯金
遺言作成時の預金残高と死亡時の預金残高は、必ずしも同じとは限りません。
相続時に想定していた金額割合と大きく異なることもありますので、全体の配分比率で相続させる方法も検討してください。
⑤「状況変化への対応」の観点
状況変化には、外的変化と内的変化の2種類があります。
推定相続人および受遺者の変化(外的変化)
遺言作成から遺言執行までの間に不幸にも推定相続人が本人より先に亡くなった場合には、当初想定していた推定相続人と異なる方が相続人となります。
また、受贈者を定めていた場合において、受贈者が本人より先に亡くなった場合には、特に定めがない限り、その遺贈は効力を有しないことになります。
このような不測の事態に対応するには、「予備的遺言」を用意しておきます。
■配偶者が自分より先に死亡したときの予備的遺言
推定相続人が配偶者Aと長男B、長女Cの場合、遺言で住居不動産を配偶者に相続させるとした上で、万が一本人より配偶者Aが先に死亡した場合に備えて、予備的遺言で住居不動産を長女Cに相続させることができます。
「万が一、遺言者より前に又は遺言者と同時に妻Aが死亡していたときは、遺言者は前条記載の財産を遺言者の長女Cに相続させる。」
■親が自分より先に死亡したときの予備的遺言
推定相続人が配偶者と親の場合、本人より先に親が亡くなれば、配偶者と本人の兄弟姉妹が相続人となります。予備的遺言により兄弟姉妹の遺留分を封じて、全財産を配偶者へ(完全に)相続させることができます。
遺言者の変化(内的変化)
ご本人の「老後の対策」に該当するものです。病気やケガ、判断能力の低下等により日々の生活に支障をきたすことを防ぐため、事前に任意後見契約・財産管理等委任契約・見守り契約を締結することを検討します。
⑥「死後事務委任」の観点
本人の死後の様々な事務的作業である葬儀、お墓、各種契約の解除などを、生前に委任しておくことができます。死後事務委任契約により、遺言では法的拘束力が無い事項でも、法的拘束力を持たせることが可能になります。
スマホやパソコン等のデジタル遺品の扱いについても検討します。
遺言書作成支援の料金
公正証書遺言プランと自筆証書遺言プランの2つをご用意しています。
事前のご相談により詳細を確認した上でお見積りさせていただきます。
遺言書作成-公正証書プラン
110,000円(税込)~
なるべく確実な遺言を作成したい
様々な視点で安定的な遺言を作成したい
〇推定相続人の確認
〇遺言書作成インタビュー
〇遺言書作成のアドバイス
〇遺言書(案)の作成および意向確認
〇公証人との打合せ
〇公証役場での立ち合い(証人1名分)
遺言書作成-自筆証書プラン
99,000円(税込)~
自筆証書でも紛失の恐れを回避したい
公正証書よりも簡便に作成したい
〇推定相続人の確認
〇遺言書作成インタビュー
〇遺言書作成のアドバイス
〇遺言書(案)の作成および意向確認
〇遺言書作成
〇法務局への遺言書保管申請
- 対象財産総額が3,000万円を超える場合
- 相続人、受遺者が多い場合
- 遺言記載内容が多岐または複雑な場合
- その他特別な場合
遺言書作成の実費について
遺言書作成支援の料金の他に、手数料、郵送費等の実費がかかります。
1. 遺言書作成の手数料(公正証書遺言の場合)
手数料令(政令)により定められた額(全国一律)
2. 遺言書作成の手数料(自筆証書遺言の場合)
保管制度利用の場合(3,900円)
3. その他の実費
- 戸籍謄本(450円/通)
- 除籍・改正原戸籍(750円/通)
- 名寄帳、固定資産評価証明書
- 郵送費(レターパックプラス・ライト等)
- 交通費
- 公正証書遺言における証人1名の弊所手配の場合(22,000円(税込))
手続きの流れ
ここでは、公正証書遺言作成支援の場合の一般的な手続きの流れについてご紹介します。
電話またはe-mailでご連絡いただき、面談日時をご予約ください。
面談日にご持参いただきたい書類を、事前にお伝えします。
初回相談は無料です。土日祝日のご相談も可能です。
弊所にてご持参の書類等を確認の上、ご要望等をお聞きします。
最適な対応策のご提案させていただく共に御見積書を提示させていただきます。
全体の流れとスケジュールもお伝えします。
提案内容にご納得いただけましたら、申込手続きとなります。
ご契約書を用意しますので、署名・捺印の上、ご返送ください。
預り書類がある場合は、契約書と一緒にお送りいただきます。
契約内容に基づき、弊所で作業に着手します。
必要に応じて弊所で戸籍謄本等の書類を取得します。
財産内容、ご家族関係(推定相続人)および受遺者、ご本人の思い、財産の分配方法、状況変化への対応等の観点でインタビューを実施し、遺言書(案)を作成します。
遺言書(案)の文面がご本人の意向どおりであるかをご確認いただき、必要に応じて加筆・修正します。
弊所にて公証人との打合せを実施します。
遺言書の原案が完成しましたら、ご確認いただきます。
予約した日時に公証役場へお越しいただきます。
弊職も証人として立ち会います。
よくあるご質問
ご相談・お問い合わせ
ご相談のご予約・お問い合わせはこちら
