相続登記のご相談の際に必要となる書類とは

ここでは司法書士に相続登記に関するご相談をする際に、必要となる書類について解説していきます。

目次

相続登記のご相談時に必要な書類とは

司法書士への相続登記に関するご相談の際には、相続登記の対象不動産に関する書類・被相続人に関する書類・相続人に関する書類・不動産の相続内容に関する書類をお持ちいただけると、お見積りやその後の手続きがスムーズに進みます。例えば預貯金等の名義変更手続きを終えている場合は、すでに相続登記で必要となる戸籍(除籍・改正原戸籍)を取得済みと思われます。

ただし、ご相談時には厳密に書類を整えなくても構いません。相続登記の申請手続きで必要な書類で不足がある場合は司法書士側で取得することができますので(印鑑証明書を除く)、とりあえずお手元にある書類で必要と思われるものがあればお持ちいただくというスタンスで良いと思います。

相談時に必要な書類(アイコンマーク)

:なるべくご持参いただきたい書類
:お手元にあればご持参いただきたい書類
:必要に応じてご持参いただきたい書類

1. 不動産に関する書類

1-1. 固定資産税納税通知書 or 固定資産評価証明書

登録免許税額を算定するために必要な評価額や対象不動産を特定するための情報が記載されている書類です。
固定資産税納税通知書(固定資産税課税明細書)は、毎年4月~6月頃(地域により異なります)に納税者宛てに郵送されます。
固定資産評価証明書は役所の資産税課(東京23区内は都税事務所)で取得するものです。もしお手元にあればお持ちください。なお、固定資産評価証明書は司法書士側で代理取得できます。

1-2. 権利書(登記済権利証、登記識別情報通知書)

1-1が手元にない場合は対象不動産を特定するための書類です。一般に権利書と言われていますが、登記済権利証や登記識別情報通知書等です。
なお、被相続人の住所変更(住所移転)の変遷によっては、相続登記の申請手続きで権利書が必要になることもありますので、お手元にある場合にはお持ちいただくことをお勧めします。

1-3. 売買契約書等

1-1や1-2が手元にない場合に対象不動産を特定するための書類として売買契約書があればお持ちください。

1-4. 抵当権設定契約書・解除証書・弁済証書等

すでに弁済等により消えている抵当権が登記簿上に残っている場合(抵当権抹消登記がされていない場合)、相続登記のタイミングで抵当権の抹消登記をすることをお勧めします。そのための情報として抵当権設定契約書・解除証書・弁済証書等の抵当権に関する書類一式をお持ちください。

2. 被相続人(亡くなった方)に関する書類

2-1. 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本

死亡届を提出してから1週間程度(状況により異なります)で被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)を取得できるようになります。他の手続きで取得されていることもありますので、お持ちください。

2-2. 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改正原戸籍(2-1と重複するものを除く)

預貯金等の名義変更手続き等で他の戸籍・除籍・改正原戸籍を取得されている場合には、お持ちください。2-1と重複している戸籍については不要です(全部で1通で結構です)。
なお、戸籍等は司法書士側で代理取得できます。

2-3. 被相続人の住民票の除票(本籍地の記載のあるもの)

他の手続きで取得されていれば、お持ちください。本籍地の記載があるものが必要です。
なお、住民票の除票は司法書士側で代理取得できます。

3. 相談者(相続人)に関する書類

3-1. 相談者の本人確認書類

司法書士は業務受諾をする場合、ご本人確認をすることが義務づけられていますので、本人確認書類(運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカードのいずれか1通)をお持ちください。
詳細は、「業務受諾の本人確認について」をご覧ください。

3-2. 相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降に発行されたもの)

預貯金等の名義変更手続き等で取得されている場合には、お持ちください。2-1や2-2と重複している戸籍については不要です(全部で1通で結構です)。
なお、戸籍等は司法書士側で代理取得できます。

4. 不動産の相続内容(帰属先)に関する書類

4-1. 遺言書

公正証書遺言書または自筆証書遺言書がある場合にはお持ちください。公正証書遺言書の場合は、正本または謄本をお持ちください。
なお、遺言書が残されていない場合はその旨お伝えください。

4-2. 遺産分割協議書

もし遺産分割協議書があれば、お持ちください。

4-3. 不動産を取得する方の住民票の写し

相続登記手続きでは、相続により不動産の名義人となる方の住民票の写しが必要になります。
すでに取得済みであればお持ちください。本籍地の記載のあるものを取得してください。
なお、司法書士側でも代理取得できます。

相続登記のご相談時に必要となる書類のパターン例

ここでは公正証書遺言がある場合、遺産分割協議をする場合、法定相続分どおりに相続する場合と言った相続パターン別に、ご相談時にお持ちいただいた方が良い書類をご説明します。

【パターン1】子1名に相続させる公正証書遺言書がある場合

《前提》
・公正証書遺言書で法定相続人3名のうち1名(相談者)に対象不動産を相続させる旨の記載あり
・固定資産税納税通知書がある
・対象不動産に抵当権設定は無し
・相談者の住民票の写し取得済み

《必要書類》
1-1. 固定資産税納税通知書
2-1. 被相続人の死亡の記載がある除籍謄本
3-1. 相談者の身分証明書 … 相談者の運転免許証等
3-2. 相続人の戸籍謄本 … 相談者のものを1通
4-1. 遺言書 … 公正証書遺言書の正本
4-3. 不動産を取得する方の住民票の写し … 相談者のものを1通

【パターン2】遺言はなく相続人3名で遺産分割協議をする場合

《前提》
・固定資産評価証明書がある
・登記済権利証がある
・対象不動産の抵当権が抹消されているか否か不明(抵当権関連の書類あり)
・相続人確定のための戸籍等は取得済み
・遺産分割協議では相続人のうち1名が取得する予定

《必要書類》
1-1. 固定資産評価証明書
1-2. 登記済権利証
1-4. 抵当権設定契約書・解除証書
2-1. 被相続人の死亡の記載がある除籍謄本
2-2. 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改正原戸籍
3-1. 相談者の身分証明書 … 相談者の運転免許証等
3-2. 相続人の戸籍謄本

【パターン3】遺言はなく法定相続分どおり相続する場合

《前提》
・固定資産税納税通知書がある
・権利書は不明
・相続人は被相続人の配偶者と子の計2名
・相続人確定のための戸籍等はまだ取得していない

《必要書類》
1-1. 固定資産税納税通知書
2-1. 被相続人の死亡の記載がある除籍謄本
3-1. 相談者の身分証明書 … 相談者の運転免許証等

以上がパターンごとの必要書類になりますが、同じパターンの場合でも相続人の形態や不動産の登記内容等に応じて必要書類が若干異なりますので、面談の前にご確認いただくと安心かと思います。
いずれにせよご相談時の必要書類はお持ちいただいた方が良い書類との趣旨ですので、書類が見当たらない場合やよく分からない場合でも結構です。あくまでもご参考までとお考えいただければ思います。


この記事を書いた人

なか司法書士事務所
司法書士 中 英康
札幌市中央区(狸小路7丁目近く)の司法書士事務所で代表を務める。
一般個人向けに相続手続・生前対策・不動産登記全般、法人企業向けに経営基盤整備支援・経営者の相続支援・商業登記全般を取り扱う。

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