相続放棄手続き

相続手続メモ ー 10. 相続放棄手続き

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相続放棄とは

相続人は、被相続人の権利・義務のすべてを承継します。
法定相続人が相続するか否かは自由意思ですので、預貯金や不動産等のプラスの財産よりも借金等のマイナスの財産(債務)が多い場合まで、相続する必要はありません(もちろん相続してもかまいません)。
相続放棄をすると、相続については初めから相続人とならなかったものとみなされます

相続放棄を積極的に検討すべき方

  • プラスの財産よりもマイナスの財産が明らかに多い。
  • 未だ認識できていない負債やそれに伴う将来的な揉め事を防止しておきたい。

相続放棄をするには

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に、家庭裁判所で手続きを行います(民法915条第1項)。
「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人の死亡を知り、かつ、自分が相続人になったことを知ったときです。

事実上の相続放棄との違い

例えば相続人間の遺産分割協議において、「私は相続放棄をします」と宣言(約束)したとします。
これは「事実上の相続放棄」と言われるもので、
「相続放棄」(法律上の相続放棄)ではありません。したがって、被相続人に借金がある場合、貸主からの請求を拒否することはできません。

相続開始後3ヶ月を超える場合

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」の熟慮期間を厳格に解釈すると、相続人にとって過酷になる場合があります。よって、最高裁判例によると「熟慮期間は、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信じることについて相当な理由がある場合には、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である」とされています。

相続放棄をする場合の配慮

相続放棄をすると、初めから相続人とならなかったものとみなされます。よって、血族相続人第1順位の子全員が相続放棄をすると、第2順位の直系尊属(父母等)が相続人となります。第2順位がいなければ、第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。
相続放棄をされる場合には、それに伴い相続人になる方に連絡を入れておくことをお勧めします。

相続放棄の手続き

手続き方法

家庭裁判所に相続放棄の申述をします。

管轄裁判所

相続開始地(被相続人の最後の住所)を管轄する家庭裁判所

手順

(1) 被相続人の住民票除票や、戸籍等を入手します。
(2) 相続放棄申述書を作成し、(1)で入手した添付書類と合わせて、家庭裁判所に提出します。
(3) 家庭裁判所から申述人に照会書が届くので、回答して返送します。
(4) 家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されると、相続放棄申述受理通知書が届きます。
(5) 相続放棄受理証明書が必要な場合は、別途家庭裁判所に申請して入手します。

 


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