相続分の考え方

相続手続メモ ー 4. 相続分の考え方

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法定相続分

法定相続分は、相続人の地位(被相続人との関係)から導かれる相続分です。
分数で示される抽象的な割合です。相続人が確定されると、自動的に法定相続分が決まります(民法900条)。

相続人の構成 法定相続分
配偶者と子 配偶者:1/2、子:1/2
配偶者と親 配偶者:2/3、親:1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4

法定相続分は、各自が主張することができる相続分のことです。
あくまでも「主張することができる分」ですから、相続人間の話し合いにより、それと異なる相続分で分け合うことも可能です。

指定相続分

被相続人は、遺言により相続分を定めることができます(民法902条1項)。
遺言で指定された相続分は、法定相続分よりも優先されます。
 指定相続分(遺言) 法定相続分

遺言と遺留分

遺言により、相続分の指定や遺産分割方法の指定をすることができます(民法902条1項、908条)。
一方、遺言により(一部の)相続人の遺留分を侵害する場合、遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます(民法1046条1項)。
遺留分は、相続分の最低保障額的な意味合いを持っており、兄弟姉妹を除く法定相続人に認められています(民法1042条)。
 遺留分 > 指定相続分(遺言) 

遺留分は遺言に優先されますので、遺言では遺留分を侵害しないように記載するか、やむなく遺留分を侵害するおそれがある場合には付言でその遺言の趣旨を明確にしておくなどの配慮が必要です。

具体的相続分

法定相続分や指定相続分は抽象的な割合で示されますが、実際の相続手続き(分配)の際には、一部の相続人が生計の資本等として既に贈与を受けていること(民法903条)や、労務の提供等により被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしていること(民法904条の2)があります。
この場合、これらの過不足を調整し、具体的相続分を決定することになります。

遺産分割協議と相続分

遺産分割協議・遺留分・遺言・法定相続分の優先関係は、以下のとおりとなります。
 遺産分割協議 > 遺留分 > 指定相続分(遺言) > 法定相続分

 


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