戸籍法の一部改正に伴い、令和6年3月1日に戸籍謄本等の広域交付制度が施行されました。これは令和6年4月1日より義務化された相続登記の手続きにおける負担軽減も考慮しつつ導入された制度です。
ここでは、相続手続に必要な戸籍謄本や除籍謄本等を効率的に収集することを目的として、戸籍謄本等の広域交付制度(戸籍の広域交付制度)を利用する方法について解説します。
戸籍の広域交付制度とは
戸籍の広域交付制度とは、”本籍地でない最寄りの市区町村の役所窓口で、本籍地以外の戸籍謄本等をまとめて請求・取得できる制度”です。
広域交付制度を利用すれば、例えば東京都に本籍がある戸籍を札幌市から請求できるようになります。
また、広域交付制度を利用すれば、例えば婚姻・転籍等で本籍地が横浜市から東京都へ移っている場合でも、札幌市から横浜市と東京都の戸籍をまとめて請求することができます。
戸籍の広域交付制度は大変便利な制度ですが、利用上の制限があります。下記事項を事前に把握された上でご利用ください。
戸籍の広域交付制度のご説明
請求できる人
戸籍の広域交付制度を請求できる人は下記のとおりです(戸籍法10条,120条の2)。
いわゆる本人等請求に該当します。
- 本人
戸籍に記載されている本人自身 - 配偶者
戸籍に記載されている者の配偶者 - 直系尊属(父母・祖父母など)
戸籍に記載されている者の直系尊属 - 直系卑属(子・孫など)
戸籍に記載されている者の直系卑属
下記の者は戸籍の広域交付制度を請求できません。
- 兄弟姉妹
戸籍に記載されている者の兄弟姉妹
請求方法
請求方法は下記のとおりです(戸籍法10条,120条の2)。
- 役所の窓口で請求
役所の窓口にご自身(上記の請求できる人)が出向く必要があります。
なお、顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証等)が必要です。
下記の方法は認められません。
- 郵送による請求
- 代理人による請求(代理人が親族の場合も含む)
- 第三者による請求(弁護士・司法書士等も含む)
請求できる戸籍の種類
請求できる戸籍の種類は下記のとおりです(戸籍法10条,12条の2,120条の2)。
- 戸籍謄本
- 除籍謄本
- 改正原戸籍(かいせいげんこせき、かいせいはらこせき)
下記の書類は請求できません。
- 戸籍の附票
相続登記の際に被相続人の住所を確認するために必要になるケースがあります。 - コンピュータ化されていない戸籍等
- 戸籍抄本
- 除籍抄本
広域交付制度の利用手順と注意事項
戸籍の広域交付制度を利用する場合は、請求者自らがマイナンバーカード等を持参の上で役所の窓口に出向いて請求します。広域交付制度を利用して被相続人〇〇の出生から死亡までの一連の戸籍を請求する旨を、窓口で伝えると間違いがないと思います。
なお、相続関係で出生から死亡までの戸籍をまとめて請求する場合は長時間を要したり、場合によっては受領のため再度役所へ出向くことを求められることもあります。役所によっては電話予約等が必要な場合もありますので、事前にご確認の上でご利用ください。
札幌市で広域交付制度を利用する際の注意事項
- 参考情報をご覧の上でご利用ください。
- なお、大通証明サービスコーナーは平日9時から17時までの受付になります。
戸籍収集のための判断基準
相続手続に伴い広域交付制度を利用して戸籍収集するか否かの判断基準は、下記のとおりです。
なお、可能な範囲で取得した戸籍を提供いただき、不足分のみを当事務所で取得するようなスキームが費用と時間の両面で効率的です。
ご自身での戸籍収集をお勧めするケース
- 相続関係が比較的シンプルである
- ご自身で平日に役所へ出向く時間的余裕がある
専門家にまかせることをお勧めするケース
- 相続関係が複雑である
例)兄弟姉妹相続、代襲相続 - 相続人の数がとても多い
例)数次相続 - 面識のない相続人がいる
戸籍の広域交付制度に関するQ&A


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なか司法書士事務所
司法書士 中 英康
札幌市中央区(狸小路7丁目近く)の司法書士事務所で代表を務める。
一般個人向けに相続手続・生前対策・不動産登記全般、法人企業向けに経営基盤整備支援・経営者の相続支援・商業登記全般を取り扱う。

